法界寺では元旦より14日間、本堂薬師堂において、五穀豊穣、万民快楽、所願成就を祈る修正会をおこないます。
その結願日にあたる1月14日の夜に厳修される結願法要にあわせて、地元の少年・青壮年による裸踊りの奉納がおこなわれます。精進潔斎した信徒は褌一つとなり、阿弥陀堂の正面の縁側で両手を頭上高くうちあわせ「頂礼(ちょうらい)、頂礼(ちょうらい)」と連呼しながら、からだをぶつけ合っておどります。「頂礼」の掛け声は「仏に帰依します」の意をあらわす「帰命頂礼」に由来します。
少年の部では、小学生の元気な「頂礼、頂礼」の声が寒空に響きわたります。続いて青壮年の部では、水垢離をした大人たちが、頭から湯気を出しながら掛け声とともに床を踏み鳴らし、背中合わせになって勢いよくからだをぶつけ合う姿がみられます。
裸踊りが終わる頃、本堂で行われている修正会結願法要も終盤に差し掛かると、僧侶が縁にでて、参拝者の健康や幸せを願い、お加持をします。
また、この日は夕方から檀信徒による粕汁のお接待があり、参拝の方々に喜ばれています。
日野裸踊りは約200年前の江戸時代から始まったと伝わります。ここ日野は農家が多く、村のお祭りとして親しまれてきました。地元では、踊りに用いられた下帯を妊婦の腹帯にすると安産になると伝えられ、今も厚い信仰を集めています。また、修正会で祈祷した牛王札は畦道にたてておけば虫がつかず豊作になるといわれ、田畑の多かったころはその光景が見られました。地元日野でまもられてきた、後世にも伝えたい伝統行事です。日野裸踊は京都市登録無形文化財に指定されています。
結願法要
少年の部
青壮年の部
お加持
京都新聞ジュニアタイムズ (2020年2月16日発行)より 2020年裸踊りの様子